木版画のできるまでThe process of Woodblock print

木版画について

繊細な色と影は、多くの工程を通って仕上がります。
木版のひと彫りごとに、バレンの動きひとつひとつに心をこめて、繰り返し色を重ねあげひとつの作品が創りだされるのです。

作品が出来るまで〜その3〜

版ボカシを刷る
11のれんの下のネズミ(版ボカシ)を刷る。
屋根ボカシを刷る
12ネズミの屋根ボカシを刷る。
のれんの紺を刷る
13のれんの紺を刷る。
ツボのボカシを刷る
14ツボのボカシを刷る。
スミ(黒)が刷り加えられる
15スミ(黒)が刷り加えられる。
屋根のヒッカキ板
● 屋根のヒッカキ板
もうせんの赤と屋根のグリーンの板
● もうせんの赤と屋根のグリーンの板。同じ板でちがう色を一緒に刷ることもある。
黒色(スミ)の板
● 黒色(スミ)の板。
完成
16完成。作品/夕暮れ 京の奥嵯峨、鳥居本にある昔からの茶店。のれんの奥から暖かくもれる灯に、こころ静かになる。

作品「夕暮れ」では、板は14枚で出来上がりますが、一枚の板で“板ボカシ”“ゴマズリ”など数回用いたり、異なる色を一緒に彫る場合もあり、完成までに結局23回刷ることになります。日本の伝統的浮世絵の技法を取り入れ、木膚の香りと、和紙の暖かさの中で制作していく歓びは、私だけのものではなく、版画を愛する皆さまの歓びともなることを願って。 井堂雅夫